気温が少しずつ上がり、いよいよ春本番。暖かく過ごしやすい時期ですが、心配なのが黄砂の飛来です。毎年3~5月は、黄砂の飛来のピークだといわれています。
そして、黄砂が飛んできて困るのが、日々の洗濯物ですよね。「黄砂が飛んでいるらしいけれど、洗濯物はどうしたら良いの?」「やっぱり外干しはだめ?」「効率よく部屋干しの洗濯物を乾かす方法はないの?」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、黄砂が洗濯物に与える影響や、黄砂対策しながらうまく洗濯物を干す方法などについて解説します。黄砂の飛来時期に洗濯物の干し方で悩んでいる方はぜひ最後までご覧ください。
黄砂とは
黄砂とは、中国大陸の内陸部に位置する乾燥・半乾燥地域で巻き上げられた土壌や鉱物の粒子、およびそれらが飛来し、浮遊したり降下したりする現象を指します。中国大陸からはるばる日本まで黄砂が飛来してくる理由は、偏西風が吹くためです。高度数千メートルにまで巻き上げられた後、西から東へと吹く偏西風に乗ることで、黄砂は日本まで届くのです。
また、黄砂は偏西風によって運ばれている間に、大気中の汚染物質を吸収していると考えられています。このことから現代では、黄砂は単なる自然現象ではなく、人体や自然に悪影響を及ぼす環境問題の1つととらえられています。
3~5月の春時期は、黄砂飛来のピークです。黄砂の被害をなるべく抑えられるように、洗濯物の干し方に工夫することが大切です。
外干しはNG!黄砂が洗濯物に与える影響
黄砂が飛来する時期は、洗濯物の外干しは避けましょう。黄砂が飛んでいる中に干してしまうと、洗濯物には次のような悪影響がもたらされます。
- 汚れや黄ばみ
- 生地の傷み
- におい
順番に見てみましょう。
汚れや黄ばみ
黄砂によって、衣類に汚れや黄ばみが発生してしまいます。これは、黄砂が金属成分を含んでいるためです。
黄砂には、アルミニウム・カルシウム・鉄などの金属成分が含まれています。これらの成分が衣類に付着することで、汚れや黄ばみを引き起こすのです。いくら洗剤でしっかり洗っていても、汚れや黄ばみによって衣類が不潔な印象になってしまうため、なるべく外干しはしないようにしましょう。
生地の傷み
黄砂は、生地を傷める原因にもなります。なぜなら、細かい粒子である黄砂が、生地の中に入り込んでしまうためです。
黄砂の大きさは、約4㎛(マイクロメートル)です。
1㎛は「0.001㎜」です。
一般的に50~100㎛といわれている髪の毛の太さと比べると、その細かさを想像しやすいでしょう。
ごく細かい粒子である黄砂は生地の中に入り込み、繊維に刺さって衣類を傷つけます。特に繊維が細いニットやセーターは黄砂が入り込みやすいため要注意です。
におい
黄砂が含む金属成分や有害物質は、衣類のいやなにおいの原因になります。
風に乗って運ばれている間に吸収した金属成分や有害物質は、衣類に付くとほこりっぽいようなにおいを発生させます。また、黄砂によって発生した異臭は洗濯をしてもなかなか落ちなくなってしまうため、洗濯物に黄砂が付かないよう工夫することが大切です。
黄砂対策!洗濯物を部屋干しするときのコツ
衣類に黄砂が付かないようにするには、断然部屋干しがおすすめです。しかし、部屋干しには「なかなか乾かない」「生乾き臭がする」などの悩みが付きもの。そこで、ここでは洗濯物を部屋干しするときのコツを4つ紹介します。
- 風通しの良い場所を選ぶ
- 除湿器やサーキュレーターを活用する
- 間隔やすき間を空けるように工夫する
- 除菌・抗菌効果のある洗剤を使う
順番に見てみましょう。
風通しの良い場所を選ぶ
部屋干しするときに大切なのは、風通しの良い場所を選ぶことです。適度に風を送ることで、洗濯物が乾きやすくなります。
一方で、風通しが悪い場所だと洗濯物が乾きにくく、長い間濡れた状態で放置されることになるため雑菌が繁殖して、嫌なにおいが発生します。
とはいえ、黄砂の時期の窓の開閉はなるべく避けたいですよね。飛散が落ち着いているときならまだしも、ピーク時は窓を開けないのが賢明です。そこで黄砂時期の部屋干しでも風通しを良くするためには、次の項のコツを試してみましょう。
サーキュレーターや除湿器を活用する
窓を開けられず、自然の風を取り入れられない場合は、家電の力を借りましょう。サーキュレーターで直接風を送れば、その分速く洗濯物が乾きます。
サーキュレーターがない場合は、扇風機でも代用できますよ。
また、部屋の湿度が高いことも、洗濯物が乾くにくい原因の1つです。除湿器を稼働させて、部屋の湿度を調節すると良いでしょう。浴室乾燥機が付いている場合は、干すのも効果的です。
間隔やすき間を空けるように工夫する
間隔を空けたり、水分で密着してしまった衣類をはがしてすき間をつくったりするのも、部屋干しのコツです。先ほどもお伝えした通り、部屋干しで大切なのは風通しを良くすること。間隔やすき間があることで、空気に触れる面が増え、洗濯物が効率よく乾きます。
間隔やすき間を空ける観点からいうと、洗濯物をカーテンレールや壁沿いに干すのはおすすめしません。カーテンや壁が邪魔をして、空気が流れにくくなってしまいます。
また、間隔やすき間を空けながら干すためには、衣類の種類ごとに干し方を工夫することも重要です。
次項では、種類ごとに部屋干しのポイントを紹介します。
大きなタオルは「じゃばら状」に干す
タオルを干す際は、じゃばら状に吊るすことを意識しましょう。タオルの場合、つい二つ折りに吊るしてしまいがちですが、これでは通気性が悪くなり、生乾き臭の原因となってしまいます。
ピンチハンガーを使って、タオルを行ったり来たりさせながら干していきます。
下着や靴下は「アーチ状」に干す
下着や靴下などをピンチハンガーを使って干す場合は、アーチ状に吊るします。丈が長いものを外側に、短いものを内側に干すことで、風通しが良くなります。
適当に配置するのではなく、丈とバランスを考えながら干してみましょう。
Tシャツやシャツは「前後身ごろをはがして」干す
生地が薄いTシャツやシャツは、水分を含むと前後の身ごろが張り付いてしまいます。そのまま干すと風が通らず、乾きにくくなってしまうため、干す前に前後見ごろをはがしましょう。
厚みのあるハンガーを使えば、しっかり風の通り道を確保できますよ。
フード付きパーカーは「フード部分を離して」干す
フードが付いているパーカーの場合は、フード部分をなるべく離して干しましょう。ただでさえ生地が厚いパーカーに、フードがくっついていると余計に乾きにくくなってしまいます。
物干し竿を使うのであれば、竿の先端にフードをかけることで解決できます。「竿がない」という場合は、パーカー専用に販売されているハンガーを活用してみてくださいね。
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パンツやスカートは「筒状に吊って」干す
パンツやスカートは、筒状に吊って干すのが基本です。Tシャツやシャツ同様、風の通り道をつくるように干すことで、乾きやすくなります。
筒状に干すためには、ピンチハンガーの活用がおすすめです。ウエスト部分をピンチで挟んで吊るしましょう。
その際、裏返すとポケット部分や縫い目の部分もしっかり乾きますよ。
除菌・抗菌効果のある洗剤を使う
部屋干しのときは、除菌や抗菌効果がある洗剤を使うのがおすすめです。菌の発生を抑える「抗菌洗剤」、あるいは菌を取り除く「除菌洗剤」を使うことで、部屋干し特有のいやなにおいを防げます。
ただし、洗剤の効果は100%ではありません。前項で紹介したコツと組み合わせて、部屋干しでも洗濯物が気持ち良く乾くように工夫しましょう。
【外に干しちゃった!】洗濯物に黄砂が付いたときの対処法
「黄砂が飛んでいるのに、洗濯物を外に干してしまった!」と焦っている方も多いのではないでしょうか。
もし外に干して、黄砂が付いてしまった場合は、手ではたいて黄砂を落としましょう。濡れている衣類についた黄砂はなかなか取れませんが、乾いた状態であれば手ではたいて落とせます。
あらかた黄砂を叩き落としたら、もう一度すすぎ洗いをするのがおすすめです。そうすることで、よりきれいな状態に戻りますよ。そのあとは、部屋干しをして黄砂から洗濯物を守りましょう。
洗濯物だけではない!黄砂トラブルと対策方法
実は、黄砂の時期に悩まされるトラブルは、洗濯物だけではありません。ここでは、次の2つに関するトラブルとその対策方法を紹介します。
- 健康に関するトラブル
- 車に関するトラブル
順番に見てみましょう。
健康に関するトラブル
黄砂は、私たちの健康に悪影響を与える可能性があるため注意しましょう。
例えば、黄砂は目のかゆみ・結膜炎・鼻水・くしゃみ・皮膚のかゆみなどのアレルギー症状を引き起こすといわれています。外にいる時間が長いほど症状が出やすくなるため、特にアレルギー体質の方は黄砂の時期の外出をなるべく控えると安心です。
その他、呼吸器疾患や循環器疾患との関連性も指摘されています。
健康被害を防ぐ方法の1つは、外出時にマスクを着用することです。外出を控えた方が良いとはいえ、まったく外に出ないことは不可能ですよね。通勤や通学、あるいは日用品の買い物などで外出する際はマスクを着用し、黄砂を取り込まないようにしましょう。
マスクをしても100%防げるわけではありませんが、自分の顔の大きさに合ったマスクを選び、すき間がないように着用することで、ある程度の予防効果が期待できますよ。
また、帰宅後は手洗い・うがいをしっかり行い、部屋の中に黄砂が入ってこないよう窓の開閉を最小限に抑えることも大切です。
車に関するトラブル
黄砂の時期は、車に関するトラブルも起きがちです。
黄砂が付着すると単に車体が汚れるだけでなく、黄砂の主成分である鉱物によって傷ついてしまいます。また、付着した黄砂を放置していると落ちにくくなり、シミの原因になります。
さらに、黄砂が積もったワイパーブレードを動かしてフロントガラスが傷ついたり、エアコンフィルターやエアクリーナーの目詰まりを引き起こしたりといったトラブルも心配です。
黄砂が付着した場合は、とにかく早めに水洗いしましょう。その際、おすすめなのが高圧洗浄器です。高圧の水が黄砂の細かい粒子も吹き飛ばしてくれるため、すっきりとした洗い上がりになります。
洗浄後は、黄砂の付着を防ぐためにワックスやコーティング剤で車体を保護しておくのが大切です。事前に保護しておけば、水洗いする際も簡単に黄砂が落ちてくれます。
黄砂情報
黄砂の飛来に合わせて対策を講じるには、常に最新情報をキャッチすることが重要です。気象庁や日本気象協会は、ホームページ上で黄砂の最新情報をアップしているため、黄砂の時期はこまめにチェックしておくと良いでしょう。
- 気象庁「黄砂情報」https://www.data.jma.go.jp/env/kosa/fcst/
- 日本気象協会「黄砂情報」https://tenki.jp/yellow-sand/
黄砂時期の洗濯物は部屋干しがおすすめ!
黄砂が飛来する時期は、断然部屋干しがおすすめです。洗濯物に付着した黄砂は、汚れ・シミ・傷み・においの原因になってしまうため、極力外干しは避けましょう。
とはいえ、部屋干しするとなると気になるのが「乾きにくさ」や「生乾き臭」ですよね。今回紹介したコツを参考に、部屋干しでも効率良く洗濯物が乾くよう工夫してみてください。